連続インタビュー企画『#だから私は選挙に行かない』:ケース1〜Kaoriさんの場合

#だから私は選挙に行かない

 

ケース1

30代前半/女性/近畿

Kaoriさん(仮名)

 

ー 選挙権を得てから今までどれくらいの割合で投票に行っていますか?

Kaoriさん:選挙権を得てから5年程前までは選挙があるたびに毎回行っていました。
5年程前から今まで1回も行っていません。

 

ー 行かなくなったきっかけは?

Kaoriさん:私はうつ病患者で、精神障害者です。
20歳で発症したので選挙権を得た時と同時期にはもう病気でした。
5年程前から行かなくなったのは、投票所にいる事務員の方の視線が気になったり、文字が上手く書けなかったらどうしようという不安、投票手順を間違えたらどうしようという不安が強くなってしまい、投票に行く事が困難になりました。
また、病気のせいで体力も無いので投票所に歩いて行くのが辛いというのも理由の一つです。

 

ー 体や気持ちの都合で行けないけれど、投票に行きたい、という気持ちは持っているのですか?

Kaoriさん:この5年程は「どうせ選挙に行けないのだから」と政治に無関心でした。ニュースを見ると精神的に辛いことも多いので、余計に政治のことを考えなくなっていました。
けれど、前回の選挙ではツイッターを通して友人達の間でも選挙の話題が多く出ていて、私も選挙権があるなら選挙に行ったほうがいい、行きたいと強く思っていました。
でも結局投票には行けなかったので、情けない気持ちになりました。

ー 今回の選挙にあたってご自身の選挙区の候補者や比例の候補者の情報収集はしましたか?

Kaoriさん:いえ、実は選挙に行きたいとは思ったものの、どうせ行けないのだからとなかばふてくされてほとんど情報収集はしていませんでした。

あと、これはお恥ずかしい話なんですが、私はいじめられて中学生の時不登校だったので、公民の勉強をしていません。実は参議院衆議院の違いもわかっていません。政治に関心が無いわけではないのですが、よくわからない事が多いんです。
なので、今回の選挙をきっかけに、政治のことを勉強しようと思い、中学生向けの公民の参考書を買いました。

 

ー 知りたい、という思いと体がついてかないからどうせ、という思いのはざまにいたんですね。
ツイッターで友人の方々の話はどんな議論を交わしていたのですか?

Kaoriさん:そうですね、後輩の女性が特に今の政治に危機感を持って、選挙に関するネットの記事をツイートで紹介したりしてくれていました。話題に上がるのは年金や子育てに対する政策が多かったように思います。

 

ー 政治と自分自身の生活が連続している、あるいは関わりがある、と実感することはありますか?

Kaoriさん:はい。やはり私たちが実際に年金をもらう年齢になった時にいくらもらえるのだろうという不安があったり、子供を授かった場合にどのようなサポートが欲しいだろうと考えることがあるので、私たちの生活に政治が関わりがあるという実感はあると思います。

 

ー 差し支えなければ教えていただきたいのですが、今はお仕事なさってるのですか?

Kaoriさん:私は既婚で、仕事はしていません。夫の収入と、私の障害年金で生活しています。

 

ー ご家族がいらっしゃるからこそ、より政治のことを考えるきっかけが増えたのでしょうか。

Kaoriさん:そうかもしれません。夫とも誰に投票するかという話も少ししていました。

 

ー 逆にいうと、配偶者の方とも政治的な議論を時間をとってすることはあまりなかったのですね。

Kaoriさん:そうですね。夫からはそういう話をふられることもあったのですが、私が情報収集していなかったため話がはずむこともなかったです。

 

〜ケース1 以上

 

写真は本文とは関係ないはたらくくるまとはたらくひと

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